毎週、スタッフの持ち回りでお届けする「編集後記」。 今週はJOより、「ドーソンの闘水牛祭り」のお話です。
北部地方の主要港湾都市ハイフォン市の中心部から南に30分下ったところにある小さな半島がビーチのあるドーソン、このドーソンでは毎年陰暦の8月9日(今年は9月11日にあたる)にそれぞれの村を代表する水牛同士を戦わせる闘水牛祭りが開かれます。
今年は9月上旬にベトナム北部を襲った台風3号(アジア名:ヤギ、日本では台風11号)の影響で、会場であるドーソン中心部の闘水牛スタジアムの電気系統が故障したことや各村の被害が大きかったため10日間延期され、9月21日の開催となりました。実際にハイフォン市内やドーソンに向かう道路沿いでは、多くの街路樹が倒れていて、台風被害の大きさを目の当たりにしました。
スタジアムでの観覧には招待状が必要です。この招待状はこのお祭りがベトナムの無形文化遺産だという理由で無料配布されることになっています。しかし、実際には転売もされていて、スタジアムの前の道路では堂々と招待状を手に持ちひらひらとさせ、買い手を探す転売人が多くみられました。このほか、開催日前には、「Tシャツを買うと招待状がついてくる」という販売方法が、無料の招待状を実質有料で販売しているのと同じだとメディアで批判されていたのをみかけました。
スタジアムの席はA席、B席、C席、D席に分かれています。それぞれの招待状に記されたエリア内では自由に座ることができますが、いくら招待状を持っていても満席だと座れません。実際にA席は早々と出入口が封鎖され、招待状を持った人たちが警備員と言い争いをしていました。つまり席数以上の招待状が出回っているということでしょう。このために私も友人づてで事前に購入した招待状が紙屑となってしまいました。
しかし、聞いてみるとD席はまだ入れるとのことでした。ここでは例の報道にあった”Tシャツを買えば招待状がもらえ入場できる方式“が採用されていました。せっかく現地まで来て入れないのは残念なので、Tシャツ付きの招待状を「買って」中に入りました。
闘水牛はまず、スタジアムの両サイドから各村の人たちが自慢の水牛を引き連れて入場します。ある程度進んだらあとは水牛同士の"やる気"に任せます。そのため、全く戦おうとせず草を食べ始めてしまう水牛たちや、一方はやる気満々なのに、もう片方は決して目を合わせようともしない水牛など、いろいろな対戦パターンがありました。
その中でも両者が角を合わせてがっぷり四つになる対戦は迫力がありました。この場合も一方的に押され戦意を喪失して、開始30秒もたたず一目散に逃げる水牛や、20分程度の長期戦など様々でした。
この闘水牛では、勝った水牛も負けた水牛も、みな残らず屠殺されてしまいます。これはこのお祭りが、豊漁や海上での安全を祈って水牛を海の神様に捧げるお祭りだからです。つまり、神様へのお供え物ものとして勝ち負け関係なく平等に神様に捧げられます。
負けた水牛からスタジアムのすぐそばで屠殺され、そばの即売所で小分けにされた水牛肉が売られていました。肉の後ろには切り落とされたばかりの水牛の頭が置かれていました(※次の写真に注意:切り取られた水牛の頭の写真です)即売所は大賑わいで、安いからなのか、新鮮だからなのか、または縁起がいいからなのかはよくわかりませんが、水牛肉は飛ぶように売れていました。
ベトナムでもここでしか見られない無形文化遺産の水闘牛祭り、1年に一度の開催ですが、機会があれば見に行ってみてください! ※ちなみに招待状についてきたTシャツもなかなかよいものでした。(表に”我らハイフォン人”、裏には”ドーソン水闘牛祭り”)
photo by Jo —————————— 今回は、ここまでです。 最後まで、お読みいただきましてありがとうございます。 今後とも、「ベ トナム株・経済情報」をよろしくお願いいたします。
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